これまでの投稿でITシステムの話題を沢山書きましたが、その中でも特に流行っている、AI万歳な風潮ってどうなんだろうと思うときがあります。
今回は敢えてシステム化と逆行する「これは当分人間にしかできなさそうな仕事」について書いてみます。
ちょっとお高めな料理
食べ物については、AIの処理能力以前に「センサー」が存在しない(または有っても手に入りづらい)ため、そもそも数値化できず、AIに学習情報を入力できる状況ではありません。
いや、あるよ! という方もいらっしゃるかもしれません。
確かにセンサー自体は一部に存在します。
でも反応速度や正確に測定するための手間がかかるため、気の利いた職人さんがこなしている
「醤油の焦げた香りが出始めたら、数秒程度で火から下ろす」
といった作業など、そもそも入り口にすら立てていない状況です。
センサーが無い限り、AIが処理できるはずもないので、当分は人間の仕事になるでしょう。
デフォルメの強いイラスト・漫画
私も大好きなジャンルなのですが、時々ものすごく簡略化したイラストや漫画を見かけます。
ペンで一筆書きしたシンプルな顔や、丸い形に少ない要素だけを書き足した動物の姿。
微妙に線が歪んでいて、それが「味を出している」こともあります。
これらを現代のAIは「認識」できるところまでは来ていると思います。
でも、「創作」できるのは、随分先の話だと思います。
今流行の「機械学習」は、ひどい言い方をすれば「数打って当てたことを記憶して打率を上げている」状態です。
そもそも絵の中の要素を極力減らして、場合によっては敢えて歪みを加えつつ、更に人の感情に訴える(特に「かわいい」と思わせる)という仕事とは、方向性が違うように思います。
苦情電話対応
これは上の「感情に訴える」ことに似ています。
既にイライラしている人が何を訴えたいのか、それに対して機械的な対応をせず、どう切り返すか。
おそらくそれができるのは、対応している人が「人間の心」を持っているからこそであり、それをAIに任せるためには、AI自体が人間の感情を取得する必要があります。
AIが自分で発話してレストランの予約をすることはできるようですが、受けた側は実際にどう捉えているかについては、あまり語られていません。
おそらく、電話がかかってきた側は内心
「なんか奇妙な会話なんだけど…聞き方を変えてみて反応を伺うかな…」
と訝しく思いながら予約を受けられているのではないでしょうか。
AIが逆の立場に立つには、相当な時間が必要だと思われます。
結局、ITはお手伝いの範囲で。
ITの仕事をしていると、さもITで全てのことができるという全能感に浸っている人を見かけるのですが、一人間として生活していると、まだまだITでは実現できそうにない状況も沢山みかけます。
私も変な全能感に浸らないように気をつけねば、と思う今日この頃です。
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